読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

五輪ロゴはセーフ?アウト?

著作権・知的財産権 あれこれ

こんにちは、行政書士でコピーライターの中村です。

 

それにしても2020年の東京オリンピック、次から次へと話題に事欠きませんねー。開催前からイベント目白押しです(笑)…で、いま話題なのは「ロゴ問題」。ニュースでも連日報道されているのでご存知の方が多いと思いますが、要は「デザイン」の盗用が疑われているわけですね。

 

まずはこれ。Théâtre de Liège(リエージュ劇場)のホームページの一部です。注目ポイントは左上の白い丸いロゴ。

f:id:siosaioffice:20150801153130p:plain

http://theatredeliege.be/より引用)

 

次にこれ。東京オリンピック公式サイトの一部です。中央のロゴに注目。

f:id:siosaioffice:20150801153430p:plain

https://tokyo2020.jp/jp/より引用)

 

似てるといえば似てる、似てないと言えば…やっぱり少しは似てる?。個人的には、「似てるけど明らかに別物」という印象です。ま、あくまで個人的な印象なので、実際に(例えば裁判とかで争われた場合に)どういう判定が出されるかはわかりません。そんなわけで、とりあえず「問題のポイント」だけ解説して、あとは今後の動きを見守るとしましょう。

 

【問題のポイント】

「ロゴが似ている」という事自体は、実は大した問題じゃありません。そんなことは日常茶飯事です。例えば「日本の国旗」と「バングラディシュの国旗」と「パラオの国旗」、違いは配色だけです(本当は中央の丸の位置とか細かい違いはありますが、それはちょっと置いといて)。でも問題はありません。「お寺のマーク」と「ハーケンクロイツナチスの紋章)」、どちらも鉤十字でよく似てますが、問題ありません(たぶん)。ではリネージュ劇場のロゴと東京五輪のロゴは…?「似ている」ことが問題なんじゃなくて、似ていることで「著作権商標権を侵害しているか?」が問題なんです。

 

著作権商標権

どちらもよく聞く言葉です。著作権というのは、文章とか絵とか写真とか映画といった創作物全般に自動的に発生する権利です。一方、商標権というのは、特定の商品やサービスに表示する文字・図形・記号・立体的形状・色の組み合わせ・音などのうち、国や国際機関に「商標登録」を申請して認められたものに発生する権利です。今回のロゴ騒動について言えば

リネージュ劇場側は商標登録をしていない

東京五輪側は(各国の商標を調査した上で)国際商標登録手続を済ませている

とのことなので、少なくとも商標権については問題にならないと思います。

 

著作権侵害の条件】

ということは、問題は「著作権侵害」。そもそも「似ているだけ」が問題にならないことは、すでに書きました。ありふれた言葉や絵、(日の丸のように)シンプルな図案であれば「偶然似てしまう」可能性が高いですからね。というわけで、具体的にリネージュ劇場のロゴ(Aロゴ)に対して東京オリンピックのロゴ(Bロゴ)が「著作権侵害」していると言うには※

・Aロゴが著作権保護期間中である

・BロゴがAロゴに基づいてデザインされている(依拠性)

・Bロゴの中にAロゴの本質的デザインを感じる(類似性)

ことが必要です。具体的に検討するとこんな感じ↓

・Aロゴは2年前に作成→◎(保護期間中)

・BロゴのデザイナーはAロゴを知らないと証言→△(証言の真偽が不明)

・Bロゴの基本形状はAロゴと同じ…?→△(人によって評価が分かれる)

…少なくとも、今のところはっきりしているのは「リネージュ劇場のロゴは著作権保護期間中である」ということだけ。それ以外は裁判所の判断次第、ということになりそうです。(※日本の著作権法判例をベースに書いてます)

 

不正競争防止法

もうひとつポイントがあります。仮に商標権OK、著作権OKだったとしても、「不正競争防止法」という法律(日本国内の場合。ただし海外にも同様の制度あり)でNGを出される可能性があります。この場合は

・Bロゴの使用範囲でAロゴが周知であること

・BロゴがAロゴに著しく類似していること

という条件を満たすことが必要です。リネージュ劇場のあるベルギーでも東京オリンピックの放映権や関連商品の売買があるでしょうから、周知の条件は満たすはず。ただ「著しく類似」しているかといわれると…やっぱり著作権侵害の要件の場合と同じで、最終的には裁判所判断になりそうです。

 

【その他】

今回、東京オリンピックの組織委員会は「問題なし」という立場をとっているようです。おそらく、上に書いた商標、著作権不正競争防止法それぞれの要件を検討しての判断でしょうし、私も基本的には「問題ないんじゃないかな」と思っています。

…法律的には。

でも本当の問題は、そこ(法律)じゃないかもしれません。仮に裁判所がOKという判断をしたとしても、ベルギーの人たち(特に劇場関係者)や、今回の騒動を見守っていた人たちの感情はどうなるでしょう?…到底納得しないでしょうし、なによりせっかくの「平和の祭典」に、水を差すことになりますよね。ただでさえ カネゴン 新国立競技場の件でゴタゴタしてて、アレなデザインのボランティアユニフォームが微妙な空気を作っているというのに、さらにネガティブな要素を付け加えるのは得策じゃない…というか、

これ以上恥をさらさないでくれ〜!…と思います。心から。

 

ではでは。

 

しおさいオフィスのWEBページも見てくださいね!→ http://www.4031office.com