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TPPと著作権②

 こんにちは、行政書士でコピーライターの中村です。

 

昨日、TPP著作権条項に反対する3,637人分の署名が政府に手渡されたそうです。やっぱり危機感を持っている人は少なくないようですね。それでも農業分野でのリアクションに比べると、まだまだ少ないです(ちなみに一昨年、JAグループが集めた署名は11,668,809人分)。というわけで、煽るわけではないですが…TPP交渉で「アメリカのルール」を受け入れた場合の問題点を、(前回の記事に引き続き)今回もひとつだけ書きます。

 

まずは ↓ をお読みください(いや、読まなくてもいいです。あとで説明するので)。

 

アメリカ著作権法第504条(c)【法定賠償額】

(1)本項第(2)節に定める場合を除き、著作権者は、終局的判決が言い渡される前はいつでも、現実損害および利益に代えて、一の著作物に関して当該訴訟の対象となるすべての侵害(一人の侵害者は単独で責任を負い、二人以上の侵害者は連帯して責任を負う)につき、750ドル以上30,000ドル未満で裁判所が正当と考える金額の法定損害賠償の支払を選択することができる。本項において、編集著作物または二次的著作物の部分は、すべて単一の著作物を構成するものとする。
(2)侵害が故意に行われたものであることにつき、著作権者が立証責任を果たしかつ裁判所がこれを認定した場合、裁判所は、その裁量により法定損害賠償の額を150,000ドルを限度として増額することができる。侵害者の行為が著作権の侵害にあたることを侵害者が知らずかつそう信じる理由がなかったことにつき、侵害者が立証責任を果たしかつ裁判所がこれを認定した場合、裁判所は、その裁量により法定損害賠償の額を200ドルを限度として減額することができる。(以下省略)

 

上はアメリカ著作権法の損害賠償規定です。簡単に説明すると、こんなことが書かれてます(1ドル=124円で計算)。

①(著作権が侵害された場合)著作権者は一つの著作物ごとに、実際の損害額の代わりに750ドル〜30,000ドル(約9万円〜372万円)の範囲で裁判所が決めた額を受け取れる。

②侵害者が故意だった場合、裁判所は最高額を150,000ドル(約1,860万円)まで増額できる。ただし、侵害者が故意でなかったことを証明できて、裁判所がそれを認めた場合は最低額を200ドル(約24,800円)まで減額できる。

 

一つ侵害するごとに、最高1,860万円。さらにダメ押しで、弁護士費用も別途プラスされます。もちろん支払うのは、侵害者側。同時に複数の著作物を侵害してしまうケースはザラだし、アメリカは弁護士費用が高いしで(まあ、日本も安くないですが)、簡単に億単位になりかねません。一方、日本の現状はどうかというと、著作権者が侵害者に請求できるのは「現実の損害額として証明できた額」のみで、弁護士費用として請求できるのも一部だけ(10%程度)。

 

あまりピンと来ないと思うので、実例として「コムライン事件(1994年)」を挙げましょう。これは日経新聞の記事をコムラインという会社が「勝手にネット配信」していたもので、裁判は日本とアメリカ両方で日経新聞社が勝ちました。ただ損害賠償額は…

日本:9,900円

アメリカ:約2,728万円(220,000ドル)

この日本の金額(9,900円)というのは、実際の損額額として裁判所が認定したものです。これに対してアメリカの金額(220,000ドル)は実損害の証明なしに裁判所が決定した「法定賠償額」。権利者としては、受けた損害を証明しなくて済むので非常にラクですね…

 

さて、TPP交渉でアメリカが要求しているのが、まさにこの「法定賠償額」の導入なんです。確かに著作権者にとっては凄まじく有利な制度ですが、万一、うっかり著作権侵害をしてしまったら…個人や零細企業にとっては死活問題ですよね。というわけで、(前回の記事の繰り返しになりますが)とにかく「正確な知識」で自衛すること、もしくは信頼できる専門家を確保することが絶対に必要です!

 

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